喫茶柊の先代、わたしの母は、昭和30年代、歌と音楽に美学のあった時代にステージ歌手として華々しく活躍。

その後、家庭に入り子育てをしながらも歌唱、ピアノで後進の育成。

喫茶柊のママとなってからは地域を越えて愛された。

常連となったお客さんは出世をしたり長く商いを続けられたりしている。

それゆえ、魔を除ける店、気を入れ替える店、などと言われたが、特別な店と思われることをひどく嫌った。

そのため、喫茶柊はコンセプトレスな喫茶店である。

それでも37年続くのだ。

 

わたしが日常を過ごす上でも仕事をする上でも「金言」となっている母の言葉と彼女に教えられたことを書こう。

喫茶柊/柊PROJECTを、というよりもわたしを理解するのに役立つと思う。

 

世代を貫通する普遍的な金言

「くだらない。地道にやれ」

この言葉は、わたしが調子に乗っていた時期、もっと稼ごうと考えをめぐらせていた時に言われた言葉です。

 

超能力者か!と思いましたが、よくない顔やしぐさになっていたんでしょう。

とにかく、いいタイミングで冷や水をかけてもらえたので、その後も長くお仕事ができてきたと思っています。

 

先代である母は、あたりまえのことをとても大事にしていました。

 

楽をしようと思うな。

ズルをしようと思うな。

インチキでごまかすな。

すぐに儲けようとするな。

うまい話に乗るな。

与えられることに慣れるな。

与えることに飽きるな。

自分を疑え。

他人に自分がどう映っているか意識しろ。

自分の言葉が他人にどう伝わっているのか意識しろ。

悪口を言うな。

感謝を忘れるな。

人をほめろ。

 

できなくても自分を責めるな。

 

先代であるわたしの母は、こういった「普通のこと」ができる人になろうとしていたんだと思います。

誰もがわかっていてもできないことを母はやりきりました。

 

それができる店を彼女は作ったんでしょう。

柊の花言葉どおり、まさに「先見の明」

 

だから、わたしは店を継いだんです。

 

ここから誰かがなにかをはじめられる確信があるからです。